私に必要だった無
THE FAMILY · 15
妻のエリザベッタは、娘のジョルジャを連れて、自分の弟ミケーレとその妻チンツィアと一緒に休暇に出かけることにした。
行き先はシチリアのいとこの家で、そこで5日間、日々の暮らしのストレスから回復するつもりだった。
私をひとり残していく前に、彼女たちは — かつてナポリにガールフレンドがいて、土地の犬の訛りを身につけてしまったわが家のアメリカン・ラブラドールの世話を任せたうえで — 食料庫はすっかり満杯だと念を押していった。日々のちょっとした出費のためにと50ユーロも置いていき、帰ってきたときには家が完璧に片づいていること、家庭内の被災地のようになっていないことを期待している、とはっきり言い渡した。
毎日、電話がかかってきた。二人とも犬のことを心配していた。ごはんは食べた? 水は十分に飲んだ? 散歩に出た? 用は足した? お友だちは見つかった?
そのうち私は、犬に直接電話して、苦情も含めて本人に質問に答えさせたらどうかと提案した。
私のほうはといえば、ときおり妻から落ち着いた質問がひとつ来るだけだった。
「食べた?」
そして私も、同じくらい落ち着いて答えるのだった。
「うん、愛しい人」
あはははははははは。
そして、彼女たちが帰ってくる日が来た。
好奇心ではちきれそうになりながら、彼女たちは家に入った。
どこもかしこもぴかぴかだった。台所は塵ひとつなかった。皿は一枚たりとも、あるべき場所からずれていなかった。
あまりに驚いたので、彼女たちはいったん外へ出て廊下に立ち、部屋を間違えたのではないかと首をかしげた。
カラビニエーリの高級将校の娘である義妹は、犯行現場を徹底的に検分し、いったいどうしてこんなことが起こりえたのかと問いただしながら、私に祝いの言葉をかけた。
特殊効果はこれで終わりだと誰もが思ったそのとき、私たちは台所のテーブルを囲み、彼女たちは、私が50ユーロを手に、返そうとやって来るのを目にした。
二人の顔が見合わされた。その目は、ひと言も発さずに、まるまるひとつの会話を交わしていた。
質問はすぐに来た。
「食べなかったの?」
そして私は答えた。
「いや、食べたよ、ありがとう。少なくとも1日3回は。でも、ほかには何も要らないとわかっていた。無があれば、生きるには十分だった。それが、私に必要なすべてだった」
私は微笑み、ひとりで散歩に出かけた。
成功は、決して分かち合うものではないからだ。
アイスクリームと同じだ。誰もが自分の舌の上でその味を確かめる。たとえ、それが誰にとっても同じ味であっても。
フェルディナンド・フレーガ
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