Gillette ブルゴーニュ — 第2幕

Gillette Burgundy — ACT 2 — Gillette The Missing Piece, chapter 08

Gillette、欠けたピース · 日本語版  ·  No. 08

Gillette ブルゴーニュ — 第2幕

ブルゴーニュ — フランス
第2幕 — サビーネの帰還


物語は決して同じにならない。物語が出会う瞬間が、決して同じではないからだ。場所は変わる。季節は変わる。人は変わる。そして女たちがその道を横切るとき、予測はあらゆる価値を失う。

この話はしばらく前に語った。今日は、もっと強く語り直したい。ほとんど自分自身との対話として—記憶からの呼び声、時の扉を叩きつづける声として。その声は、かつてあったことだけでなく、もしかするとまだあり得ることをも思い出させてくれる。

第2幕 — サビーネの帰還

最初の数日は、地所の立て直しに費やした。

交渉したがる従業員がいた。

これまでずっとどうやってきたかを説明したがる者もいた。

伝統それ自体が論拠になると信じている者も、何人かいた。

私は聞いた。

そして決めた。

給料も、特権も、古い習慣も、交渉し直すつもりはなかった。残りたい者は歓迎した。去りたい者には、握手と笑顔を贈った。

恨みはなしだ。

ある種の習慣はめったに変わらないと、私はずっと前に学んでいた。

取り替えられるだけだ。

だから新しいチームをつくりはじめた。

責任感のある人間。

一日じゅう、一時間ごとに見張っていなくてもいい人間。

私の哲学は単純だった。

命令するな。

責任をつくれ。

数週間がゆっくりと過ぎていった。時を刻むのは、ぶどう畑のリズムと、ブルゴーニュの丘を渡る風だった。

もう探してもいなかった安らぎを、ついに見つけたのだと思った。

ところがある午後、地所の入口に1台のイタリア車が現れた。

女と若い男が降りてくるのを、私は遠くから見ていた。

誰かを探していた。

二人は作業員の一人にしきりに話しかけていたが、相手はイタリア語をひと言も解さなかった。二人はひとつの名前を繰り返していた。

私の名前だ。

私は馬で近づいた。

そして時が止まった。

サビーネだった。

口をきくまでもなかった。

名乗るまでもなかった。

写真よりも深く、記憶に刻まれたままの顔というものがある。

ひと目でわかる。

何十年たっていても。

一瞬、私はまた若者に戻った。

古い写真のなかの若者ではない。

公式書類のなかの若者でもない。

夢の若者だ。

過ちの。

果たされなかった約束の。

とうに失ったと思っていた力で、心臓が打ちはじめた。

平静を装って、馬から降りた。

彼女は微笑んだ。

同じ微笑み。

瞳に宿る同じ光。

時が加えたのは気品であって、距離ではなかった。

隣には若い男が立っていた。甥だと彼女は紹介した。

私は彼をじっくりと眺めた。

その似かたには、どこか心をざわつかせるものがあった。

同じ目。

同じ表情。

同じ、頑固な優しさ。

サビーネは、自分の人生から一度も本当には去らなかった相手を見るように、私を見た。

気まずさはなかった。

説明もなかった。

あったのは、二人が生きることのなかったすべての、静かな重みだけ。

私たちはぶどうの木のあいだを歩いた。

過去のことを話した。いまも思い出が住みついている古い家のことを話すように。どうやって私を見つけたのかと尋ねた。

彼女は笑った。

完璧に覚えている笑い声だった。

「あなたのせいよ」

「私のせい?」

「そう。あなたは昔から何でも書きとめる人だった。面と向かって言えないことは、本を通して世界に語ってきた。私は何年もあなたの言葉を追いかけたの。ページごとに、また一つ手がかりが残されていた。いつかは見つけられるとわかっていたわ」

私は黙っていた。

彼女の言うとおりだったからだ。

そしてその瞬間、あることがわかった。

彼女は偶然やって来たのではない。

そしておそらく、私も。

ずっと前に途切れた一文を言い終えるのに、人生は何十年もかけることがある。


フェルディナンド

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