Gilletteのふるまい

Gilletteのふるまい — Gillette、欠けたピース 第19章

Gillette、欠けたピース · 日本語版  ·  No. 19

Gilletteのふるまい

表現


心の十の部屋

誰もが、自分で選んだわけでもないのに住んでいる家がある。

住所はない。どの地図にも載っていない。それでも、実際に暮らしたどんな場所よりもよく知っている。なかには十の扉がある。

気づかないまま、毎日開けている扉もある。

自分には関係ないというふりをして、鍵をかけたままの扉もある。

そして、自分で建てたわけではないのに、なぜか内に抱えている部屋もある。これは理論ではない。

棚でほこりをかぶっている心理学の手引書でもない。

この十の部屋をひとつずつ、たいていは自分がどこにいるのかも知らずに通り抜け、いま、肩にいくらか歳月を重ねて、体験したとおりに描こうとしている一人の男の記録だ。

十の扉。

私はすべて開けた。

あるものは好奇心から。

あるものは渋々。

もう引き返せなくなってから、ようやく開けたものもある。

これらの部屋に見覚えがあるとしたら、それが私の物語を語っているからではない。

どこか深いところで、あなたの物語をも語っているからだ。

フェルディナンド

ふるまい — 表現

言葉は物語を語る。

ふるまいは、それをさらけ出す。

私たちが何者であるかは、自分では抑えられない細部から絶えずにじみ出る。

手。

姿勢。

沈黙。

後ずさり。

抱擁。

身体は疲れを知らない書き手だ。

毎日、ページを埋めていく。

何も言っていないつもりのときでさえ。

長い年月のうちに学んだ。たいていの人は、悪意から嘘をつくのではない。

恐れから嘘をつく。

身を守るために。

強く見せるために。

それでも、ふるまいは真実を語りつづける。

いつでも。

そして、それに耳を澄ますことを覚えた者は、どんな告白にも収まりきらない物語を見つける。

結局、すべては二つの言葉に行き着く。

スタイル。

品格。

だが、Amazonでは買えない。

翌日配送はない。

返品制度もない。

あの会社が売っていない商品だ。

スタイルと品格は、人柄から生まれるからだ。

そして人柄は、ゆっくりと築かれる。

選択をひとつずつ重ねて。

誰にも見えない選択を。

だが、いつかは誰もが気づく選択を。


フェルディナンド

PDF ← Gillette、欠けたピース