Gillette ブルゴーニュ — 第3幕

Gillette ブルゴーニュ — 第3幕 — Gillette、欠けたピース 第09章

Gillette、欠けたピース · 日本語版  ·  No. 09

Gillette ブルゴーニュ — 第3幕

ブルゴーニュ — フランス
第3幕 — 最後の収穫


物語は決して同じにならない。物語が出会う瞬間が、決して同じではないからだ。場所は変わる。季節は変わる。人は変わる。そして女たちがその道を横切るとき、予測はあらゆる価値を失う。

この話はしばらく前に語った。今日は、もっと強く語り直したい。ほとんど自分自身との対話として—記憶からの呼び声、時の扉を叩きつづける声として。その声は、かつてあったことだけでなく、もしかするとまだあり得ることをも思い出させてくれる。

第3幕 — 最後の収穫

サビーネが隣にいると、未来はもう遠いものには感じられなかった。

ひとつの場所になっていた。

私はぶどう畑を見渡し、新しい季節を思い描いた。子どもたちのこと、そのまた子どもたちのこと、そして馬で地所を回る力が私になくなったとき、何が残るのかを考えた。長い年月、私は仕事を追いかけてきた。

責任。

挑戦。

結果。

国々を渡り、事業を築き、勝利も敗北も知った。

それなのに安らぎは、ブルゴーニュのあの片隅と、時が思いがけず返してくれた女とを選んだようだった。

サビーネは私の隣で、ぶどうの木のあいだを歩いた。

言葉は少なかった。

ある年齢を過ぎると、沈黙のほうが言葉よりもはっきり真実を語ることが多いと気づく。日々は、かつて知っていたかどうかも思い出せないほどの素朴さで流れていった。

ワインは樽のなかでゆっくりと熟していった。

ぶどう畑は季節に従った。

馬たちは野を自由に駆けた。

子どもたちは前よりよく訪ねてくるようになった。

そして長い年月のなかで初めて、何ひとつ変える必要を感じずに、自分の人生を眺めた。

では、ワインは?

まあ、それにはローマ人がとうに答えを出している。

In vino veritas.

ワインのなかに真実あり。

仮面が落ちる。

嘘が弱まる。

埋もれていた感情さえ、やがて口をひらく勇気を見つける。

私は新しい人生をそんなふうに思い描いていた。

ブルゴーニュ。

ぶどう畑。

馬たち。

サビーネ。

近くにいる子どもたち。

そして私は馬で畝のあいだを行き、剪定を確かめ、陽の光がぶどうの木にどう触れるかを見きわめる。

すべてが、ようやくあるべき場所に収まったように見えた。

そして私は91歳になっていた。

91歳。

もう何にも驚かないだけのものは見た、と男が思いこむ歳だ。

間違っていた。

地所の長い私道を上ってくる車の音を、もう一度聞くことになるとは思ってもいなかったからだ。また1台の車。

また一人の女。

また一人の若い男。

車は速度を落とし、私たちから数メートルのところで止まった。

私はサビーネを見た。

車を見た。

降りてくる若い男を見た。

ほんの一瞬、すでに生きた場面を人生が繰り返しているという、ばかげた感覚に襲われた。女はドアを閉めると、じっと立ったまま家を眺めていた。

それから私を見た。

偶然そこに来たのではない者の顔をしていた。

何年も探しつづけてきた者の顔を。

隣でサビーネが身をこわばらせるのがわかった。

私も動けなかった。

女は数歩、前へ出た。

若い男はそばを離れなかった。

彼女は私を注意深く観察した。

注意深すぎるほどに。

確証を探すかのように。

生涯ずっと聞かされてきた何かを、取り戻そうとするかのように。

ようやく、彼女は微笑んだ。

優しい微笑み。

ほとんど哀しげな。

それから、ひとつだけ質問をした。

「フェルディナンド・フレーガさんですか?」

私はすぐには答えなかった。

恐れは、知らないものからやって来るとはかぎらない。

ときには、見覚えがあるかもしれないものからやって来る。

ブルゴーニュは私たちのまわりで静まりかえっていた。

ぶどう畑は、薄れゆく光の下で息をしていた。

誰も口をきかなかった。

サビーネも。

若い男も。

私も。

その瞬間、91年かけても学べなかったことがわかったからだ。人生は、済んでいない勘定をめったに締めない。

取っておく。

守る。

樽で眠るワインのように、ゆっくりと熟させる。

そして、物語が終わろうとしていると私たちが思ったまさにそのとき、永遠に封じられたと思っていた扉を開ける。

ひとつの記憶。

ひとつの問い。

ひとつの後悔。

一人の女。

もしかすると、息子。

もしかすると、昔の恋。

あるいは、私たちに届くまでにまるごと一生を必要とした、ひとつの真実。

私は立ちつくしていた。

隣にはサビーネ。

目の前にはあの女。

そして別々の物語に属する二人の若い男—あるいは、同じひとつの物語に。

そして初めて、答えを急いで知りたいとは思わなかった。

運命は本を閉じに来たのではないとわかったからだ。

もう1ページ書き足しに来たのだ。

そしておそらく、ブルゴーニュの真ん中のあの夕暮れに、何よりも大切な章が始まろうとしていた。


フェルディナンド

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