L’ORÉALに貸し出されたフレーガ氏
L’ORÉAL · 03
日曜の朝、ジョルジョとよく会った—友人であり同業者で、女性用化粧品では世界最大級の会社の営業マネージャー。その会社がL’ORÉALだ。
それが私たちなりの、つながりを保つやり方だった。バールで温かいコーヒーを飲みながら、その週のこと、仕事のことを語り合い、それから市場にいる得意先の話をして、持ち上がった出来事をネタに冗談のひとつも交わす。
人付き合いのいい性分で、いつも笑顔、いつも皮肉屋、それでいて手なずけようのない気骨があった—あの優雅さと洗練には、並ぶ者がなかった。
いつでも冗談の用意があり、それも雑なものはひとつもなく、語り草になるほどの笑顔で誰をもくつろがせた—新しい歯にひと財産つぎ込んだから、2万5000ユーロの保険をかけなきゃならなかった、というのが口癖だった。彼のちくりと刺す冗談を快く受け取れなかった誰かが、その歯を叩き折ってやろうと思い立つ危険に備えて、だそうだ。
地元カラブリアを一緒に売り歩くときは、どの得意先でも大声で宣言したものだ。俺たちはこの世でいちばん運のいい男だ、世界で最高の2社に勤めていて、働くためじゃなく、ただ楽しむために大金をもらっているんだ、と—聞かされたほうは決まって苛立った。信じてもらえないことも多かったが、それでもほとんど誰からも一目置かれていた。
ある4月の朝、彼は言った。来週迎えに行く、シチリアで仕事だ、3日間—心配するな、全部こっち持ちだ、お前は一銭も払わなくていい。
そこが私の担当地域でないことは百も承知のはずだったから、訊いた。担当外でいったい何をやろうっていうんだ。
まあな、と彼は言った。それはお前へのお楽しみだ—たぶん、少しは俺にとってもな。
お前はどこまでもGilletteのフレーガだ。ただし3日間は、現場に出る会社の客になる。払いはL’ORÉAL持ちだ。
コインの裏側を見せてやる—お前の知らない市場、見たこともない市場だ。入ったことがないんだからな。そこでは何を買うにも女が主役で、女ならではの流儀がある。
俺にとっては礼のつもりでもある。一緒に過ごしたこの2年への礼だ—わかってるんだ。お前がいなかったら、お前の助けと面倒見のよさ、温かさと礼儀、お前という男、お前という友人をつくっているものすべてがなかったら、クローン病のあと、俺はたぶん仕事に戻れなかった。ひょっとすると、生きることにさえ戻れなかった。
ほんの一瞬、彼の気がゆるんだ。涙がひと粒—感情をこらえきれずにいる、そんな彼を見たのは初めてだった。
カターニアに3日、パレルモに1日いて、それから帰るのだと彼は言った—これは正式なテストという扱いで、彼の営業本部があらかじめ承認し、決裁も済んでいる。何が起きるのか、私たちふたりが何をしでかすのか、誰もが興味津々だという。
迷わず引き受けた。会社というのはいつも情報は渡してくれるが、本物の経験を分けてくれることは決してない—これは成長するための、掛け値なしの機会だった。
父に話すと、父は微笑んで言った。お前は相変わらず、誰も予想しないことをやる—それはただの性分じゃない。それがフェルディナンド・フレーガだ。
それが父なりの祝福だった。ジョルジョとは20年来の付き合いで、私が何かを学ぶことはわかっていた—何を学ぶのかが、わからなかっただけだ。
家に帰ると、妻は私の顔に妙なものを見て、どうしたのと訊いた。3日間、L’Oréalに貸し出されたんだ、と言うと、妻は言い返した。またいつもの冗談ばっかり—いつになったら真面目になるの。
帰ってきた日に、どうだったか一部始終話すよ、と言って、私は事の次第をすっかり話した。妻は言った。さあ大変ね—女の世界に、いつもとは違う扉から入っていくんだから。どうなるか、楽しみだわ。
フェルディナンド
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